・自分内で恒例になりつつあるコーナー、"先学期(3~6月)中に良く聴いていたアルバム"。以前紹介した(そしてほぼ毎日のように聴いていた)Perfumeの"Perfume~Complete
Best~"と合わせて10枚程を並べてみたいと思います。
・まずはPerfumeのプロデューサーでもある中田ヤスタカ氏のトラックにこしじまとしこ氏のヴォーカルが乗るスタイルの音楽ユニット、capsule。Daft
Punkをよりキュートにしたような軽快さのある打ち込みサウンドがベースで、ぶっちゃけると21世紀版Pizzicato
Fiveのようなグループです。アルバムごとに路線が違い、デビュー初期が最もポップス寄り、ラウンジ/ボッサ風味の強い時期を経て現在は甘さ控えめのディスコ/テクノに。今回ここで挙げるのはラウンジ/ボッサ期の"S.F.
Sound
Furniture"、リリースは2004年です。軽快なピコピコサウンドはそのままに、ちょっとラテンのリズムを漂わせる作りはお見事。非常に耳に馴染み易く、聴き疲れしません。またこのアルバム中の
"ポータブル空港"、NEXUS-2060収録の"Space
Station No.9"、"L.D.K. Lounge Designers Killer"収録の"空飛ぶ都市計画"は合わせてS.F.3部作と呼ばれ、スタジオジブリの百瀬義行監督とコラボレートPVが制作されています。楽曲名からyoutubeに飛べるので是非チェックしてみてください。
・そもそもエレポップばかり聴くことになった原因は、やっぱりDaft Punk。"Around The
World"が好きだけどPVを見たことがない、と言う友人にあの面白すぎるVideoを見せた際、自分までうっかりアルバム丸ごと復習するくらい引き込まれてしまったのでした。それがこの1997年リリースの1st、"Homework"。エレポップの範疇の枠にギリギリ収まらないかも、っていうくらいヴァラエティに富んだ音が詰まっている楽しい作品です。それにしても前述の"Around
the World"のPVはミシェル・ゴンドリー監督で、ブレイクするきっかけになった"Da
Funk"の監督はスパイク・ジョーンズと言うのはなんとも凄い話ですなぁ。
・Pizzicato
Fiveそのものも未だに良く聴いているのでこの際触れてみたいと思います。という訳で"渋谷系"の中心で活躍し、2001年の解散後も多方面に影響を残し続けているPizzicato
Fiveのベスト的アルバム、"Singles"(2001年リリース)。自分が、そして同年代の人間の多くがこのユニットの存在を知るきっかけになった"東京は夜の七時"(最近カヴァーされた野本かりあver.は如何なものかと思います)をはじめ、"きみみたいにきれいな女の子"、"恋のルール・新しいルール"、"Nonstop to
Tokyo"等など、野宮真貴&小西康陽時代のシングル曲が全て収められております。勿論NHKみんなのうたにもなった"メッセージ・ソング"も収録。そばに居ることのできない子供へ宛てた父親からのメッセージがテーマの楽曲(実際小西氏が自身の子供に宛てた楽曲だという話も)、ド直球で心に響きます。
・少し毛色が変わって4Heroの"Play with the
Changes"。日本では昨年末くらいにリリースされていたのに、こちらで公式に手に入るようになったのは2月の終わり頃でした。一体何故? Marc
MacとDegoによるユニットでUKにおいて絶大な影響力を持つDrum'N
Bass界のパイオニア…と言う触れ込みなんですが、このアルバムに関してはDrum'N
Bassがどうとかそういう問題では無くなっており、とにかく色んなジャンルの音を集めて気持ちよく洗練させました状態。BGMとして機能する耳障りの良さも、聴き込んでも飽きの来ない深みも両方備えてるのに感服いたします。ズラリと並ぶ美曲の中で、個人的にはクールさが際立つ"Take
My Time"が一番好きかも。
・トランス界の凄い重鎮(らしい)Sashaによる2002年リリースの1st、"airdrawndagger"。"サイバートランス"に生理的な拒否反応が出る自分にでも聴けるTranceが存在するということ、そして自分にとって聴ける/聴けないのボーダーがどこにあるのかを教えてくれた1枚です。このアルバム中の曲は単なる騒音として認識される類の"うるさいシンセが上行って下行って、ビートが消えてまた戻ってきてシンセが~"の繰り返しではなく、もっとアンビエント/ダウンテンポな雰囲気で一言で言うと"踊れなさそう"な曲ばかり。BPM自体は速い(基準がHiphopなので参考にはならないと思いますが…)ものの、内向的で落ち着きの感じられるビートに浮遊感のあるウワモノが乗る"知性的"な音(特にアルバム後半)は、自分にも受け入れられるものでした。ちなみに聴けなくなる基準はやっぱりシンセの上下動、3曲目"Magnetic
North"後半のような展開でした(多分トランスファンにはここがいいんじゃないか、と言われそうな部分です)。どうせシンセ鳴るならチープに品無くのた打ち回ってくれる方が好みです、そう、G-Funkのように。
・90年代アングラHiphop界の巨人、Organized Konfusion (Pharoahe
MonchとPrince Poetryの2人組ユニット)のベスト盤"The Best of Organized
Konfusion"(2005年リリース)。元々Pharoahe Monchが1999年にリリースしたソロ作"Internal
Affairs"から溯ってグループの存在を知った口なので、お勉強の意味も兼ねて聞いてみたところ…カッコイイ…。トラックもラップもファンク/メロウなのからハードなのまでヴァリエーション豊かで、メリハリもバッチリ利いています。特に気に入ったのはアッパーチューン"Walking
Into The Sun"と、O.C.とQ-Tipを迎えた"Let's
Organize"辺りでしょうか。勿論"Stress"も名曲。
・リリースされたのは1998年、その翌年に購入して以降コンスタントに聴き続けているアルバム、"Greatest Hits" by
2PAC。常に個々のアルバムとこのベスト盤を行ったり来たりしています。そもそも西モノにに興味を持っていなかった自分をウェッサイに引きずり込んだのはこのお方。丁度このアルバムに収録された未発表曲"Changes"を耳にしたのが原因でした。西は低俗な暴力主義ラップ、そんな思い込みをこの一曲で粉砕し、さらに"Keep
Ya Head Up"、"Dear Mama"、"Life Goes
On"等でその深さを発見。最終的にはいかにもなギャングスタチューン達にまでのめりこむ結果となったわけです。死後10年が経過した今でも彼の周辺は騒がしく、来月にはRemixモノの続編"Evolution:
Duets and Remixes"がリリースされる予定。ホントもうそろそろ安らかに眠らせてあげてください。
・外気温が30℃を越え始めたあたりからプレイリストに加わったピアノジャズアルバム、"Fly to Brazil" by Walter
Strerath Trio(1975年リリース)。ジャケのしょーもない駄洒落(飛ぶ = Fly =
ハエ)からしてちょっとお気に入りだったり。3曲目のタイトル、"Bossa Made In
Germany"がこのアルバムがどういうものなのかを教えてくれます。全体的にノリの良い心地良い楽曲が多く、"おおー、ドイツ人にも軽快なラテンのリズムって理解できるんだ~"と失礼な感想を持ってみたり。特にテンション高すぎて全然枯れている感の無い7曲目"Autumn
Leaves"は面白いです。そんなこんなでひとしきり盛り上がった後、最後8曲目"A Slow
Fly"でキッチリとクールダウン。良く出来ている、爽やかな一枚。
・1996年にテレ東系で放送されていたTVアニメ、天空のエスカフローネのサントラベスト盤、"The Vision of
Escaflowne~lovers
only"(1997年リリース)。ちょっと癖のある絵柄が苦手だった為作品自体を見たことは無かったりしますが、溝口肇氏&菅野よう子氏が音楽担当なのでこの際聴いてみる事に。これがファンタジーモノらしく荘厳かつ神秘的な構成で、2曲目からいきなりグレゴリオ聖歌調のチャント、そこから先も次々とスケールの大きなオーケストラ曲が。緊迫感&迫力のある楽曲も多く、そのクオリティに圧倒されてしまいました。また、要所要所に散りばめられたヴォーカル曲は安心の"菅野ポップス"。作品内で主人公のCVを担当している坂本真綾の歌声も堪能できます。しかしなんと言っても触れなくてはならないのが、このアルバム中で最強の破壊力を誇る楽曲
"猫のキモチ"。世界一知られた声を持つ声優、大谷育江氏(CVを担当しているピカチュウは海外版でも吹き替えられていないため。おかげでyoutubeで彼女がピカチュウの声を出している短い映像に大量のコメントが付いていたり)がヴォーカルを当てています。あまりの可愛らしさに癒しを通り越してせつなくなってしまうような、そんな極上級の愛猫ソング、素晴らしい。
~番外~
・NHKBSでやっていた"アニメギガ"なるインタヴュー番組に山寺宏一氏が出演しており、そこで彼が"らんま1/2"内にて響良牙以外に呪泉郷ガイド、Pちゃんらの声も当てていたことを知り驚愕。この1992年リリースの規格物CD
"らんま1/2 格闘歌かるた"(あ~ん、まで全45トラックという菊地成孔氏の"Degustation a Jazz"越え)中の一曲
"チャイナからの手紙" by
良牙&ガイドが一人デュエットだったと言う事実に約15年ぶりに気付かされる結果となりました。さすが7色の声を持つ男…。ちなみに彼の当てる役の中では、エディ・マーフィの吹き替えが一番好きだったり。あの変な笑い声、また聞きたいっすねぇ。それにしても、今改めてチェックしなおすと、この作品のキャスティングのなんと豪華なことか。もう新しい声を聴けない声優さんもおり、しかもそれが久能先輩の鈴置博孝氏というのがなんとも…。こうなるとやっぱり完結篇の制作はないんでしょうなぁ…。
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